2020年02月07日

日経新聞より


日経新聞より
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新型肺炎専門家に聞く インフルの対策が有効
舘田一博・日本感染症学会理事長

新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。政府は検査対象を広げたが症状が出ない人は把握が難しく、不安を抱く人は多い。これまでの感染例などから見えてきた特徴は何か。日本感染症学会理事長の舘田一博・東邦大学教授に聞いた。

新型コロナウイルスの感染者数は日本でも増えているが、重症例はない。家族や医師、看護師らに感染が広がっていないのは大事な点だ。感染防止策を講じ健康なはずの医療従事者にうつり、死者が出た重症急性呼吸器症候群(SARS)と明らかに違う。

国立感染症研究所が日本人感染者から分離したウイルスを調べた結果、感染力や毒性を高める遺伝子変異は起きていなかった。こうしたことから新型コロナウイルスは特別恐ろしいものではなく、普通の風邪のウイルスに近いのではないか。

中国政府は武漢市を事実上「封鎖」し、日本も同市を含む湖北省からの入国拒否に踏み切った。しかし、すでに中国から何十万人もの感染者が日本に入っていると考えるべきだ。小さな感染の広がりがいくつかできていても不思議はない。症状がない人、軽い人が多いからわからないだけだ。

国内の感染者の肺炎は胸部X線では見えず、コンピューター断層撮影装置(CT)でわかったケースが多いと聞く。普段なら肺炎と診断されない程度なのだろう。

中国で死者が多い理由はよくわからないが、背景に医療事情の違いがあるのではないか。日本は医療へのアクセスがよいので、同じ症状でもそこまで重症化しない。

新型コロナウイルスへの日ごろの対策は、季節性インフルエンザと同じと考えてよい。人混みは感染リスクが高いので避ける。マスクを付けるなどせきエチケットを心がけ、よく手洗いする。

医療機関や、武漢からチャーター便で帰国した人々の受け入れ施設などで職員らが防護服に身を包んでいるが、その必要はない。部屋に缶詰めになっている人たちが不安にならないか、精神状態が心配だ。マスクをして1メートル以上離れれば会話しても心配ないので、対応を変えた方がよい。

大切なのはパニックを起こさないことだ。もちろん、新しいウイルスでわからないことは多い。ワクチンも治療薬もないので油断は禁物だ。特に高齢者は体が弱り、2次性の細菌性肺炎になる心配がある。だが、その場合も抗生物質などにより対処のしようはある。

東京五輪のように一時期に大勢の人が集まる場では、麻疹やジカ熱などの感染も心配だ。過去に流行した大会もある。次々に現れるウイルスは人類への脅威だ。新型コロナウイルスの診断薬や治療薬の開発は意味がある。その経験やノウハウは次のもっと恐ろしいウイルスへの備えになる。
posted by TOIN at 11:16 | お知らせ